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    (1)http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/347/

    ラギヨイ・アチントヤ~Early Days(2)
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    と、その前に、扇風機をつける。

    「悪い、この部屋、クーラーついてないんだ。
     父さんの部屋なら、あるんだけど」
    「ううん、いいよ。私、クーラーの風、苦手だし」
    「それにしても…」
    「何?」
    「しきりに、お父さんの部屋に誘導しようとするのは、
     この部屋に見られたくないものがあるとか?」
    「いいや、特には。それとも何か見たいものでもあるの?」
    「まー、男の子の部屋だから、見慣れないものだらけだけど、
     莉緒ちゃんみたく家探ししたりはしないよ」

    「そーいや、野分のヤツも休んでたな。
     傷、軽かったって言ってなかったけ?」
    「メール見た限りでは、お兄さんに出してもらえないんだって」
    「あ、野分なら、砂丘(サキュ)の行きそうな場所を知ってるんじゃないのかな」
    「多分、お兄さんが聞きだしてるんじゃないかな」
    「そっか、それにしても、あの2人って付き合ってたんだな」
    「普段、あんなにいがみ合っているのに」
    「愛情の反対は、必ずしも憎悪とは限らないんだよ」
    「無関心が猫を殺す…だっけ。そーいや、二人とも素直じゃないもんな。
    「そうそう、じゃれ合いがスキンシップだったんじゃないかな」

    「宇佐見も野分とは、古い付き合いなんだよな。」
    「うん、小学生の頃から。細ちゃんとも一緒だよ」
    「俺と砂丘は、小学2年から。
     だから、あの絵もホントは、砂丘と一緒に描くはずだった…
     いや、別行動したから、描けたんだっけ?」
    「どーゆーこと?」
    「それは…」

    十年前。1993年7月下旬。春先に父さんが家を建て、この街に
    引っ越してきた俺は、当時も委員長だった砂丘とすっかり仲良くなり、
    どこを行く時も一緒だった。しかし、夏休みに入った、あの日。

    「ゴホゴホ、ごめん首里。風邪ひいたみたいだ。」
    「いいよ。だったら、また今度にしようよ」
    「ゴホン、でも、来週から、旅行に出かけるんだろ?」
    「ゴホ、僕ん家も、しばらく、おばあちゃん家に行くから。
     今度、会えるのは8月の終わりごろだし… ガハゲホ」
    「じゃ、悪いけど、一人で行くよ。寝て早く直してね」
    「うん、ありがとう。じゃ、ブツ ツーツーツ-… チン」

    「どーするの?」と、当時は、まだ元気だった母さんが質問してきた。
    「うん、一人で行ってくるよ。今週中に宿題全部終わらせたいし。
     じゃ、行ってきまーす」
    「車には気をつけるのよ。後、あんまり遠いところには行かないように」

    「はーい。」と返事だけ元気よく答えたものの、実のところ全くの上の空で
    何処に行って、何を描こうと内心ウキウキしていた。
    帽子をかぶり、補助輪付きの自転車のカゴに画材その他を詰め込んで、走り出す。
    いつもは砂丘の後をついて行くだけだったので、必然的に行ったことのない場所を
    目指すことになり、気が付いたら、見知らぬ小山を目指していた。
    前々から、その山頂に見える赤い鳥居が気になっていたのだ。

    しかし、行けども行けども近づかず、結局辿りついたのは正午近くになってからだった。
    仕方ないので、石段を登り日射病にならないように、木影に移動し、
    まず母さんが作ってくれた弁当を食べる。物の10分で完食し、水筒のお茶を半分ほど飲むと、
    スケッチ場所を選ぶ。で、気づいたのだが、赤い鳥居が書きたくて、
    この場所に来たのに、近づきすぎては、全体を書くことができないということ。

    少し考えて、画面枠に、鳥居を大きく描いて、その間から見える景色を描くことにした。
    神社を描くか、見下ろすと見える街並みを描くかを迷うことはしなかった。
    当然、街並を描く。

    「で描いたのが、これって訳」
    「んー、で、何処なの? ここ」
    「それが分からないんだ」
    「珍しいね。方向感覚抜群の土成くんにも、そんなことあるんだ」
    「宇佐見は見覚えあるって、行ってたよね。分からない?」
    「んー。そーいえば、緑でなく、家とか建物いっぱい描いてあるね。」

    しばらく眺めて宇佐見が出した結論は、

    「ごめん。鳥居があると、全部、谺神社に見えちゃうや。」
    「いや、いいよ。俺もそうかな? とは思ったんだけど、
     らしい建物は、全く見当たらないんだよな。」

    「でもでも、あの辺って、10年ですっかり様変わりしてるから、
     案外そうかもしれないよ。他に覚えていることないの? 道順とか」
    「うーん、山を目指して夢中に漕いでたから、覚えてない。
     帰り道も女の子2人に教えてもらったし」
    「ふーん、どんな子だったの。」
    「えーと、一人は神様みたいな恰好をしてて、もう一人は一輪車に乗ってたような。
     他には… ごめん、思い出せないや」
    「へぇー、一輪車か。私みたいだね。もう一人の神様みたいっていう子は?」
    「着物だと思うんだけど、下が袴だったのかな?」
    「たとえば、夕梨さんみたいな巫女服ってこと?」

    「…言われてみれば、そんな気もするけど、夕方で逆光だったし。
     それ以外にも大変なことがあって、よく覚えてないんだ」
    「大変なことって、どんな?」
    「補助輪が外れていたんだ。だから、最初は押して帰っていたんだけど、
     どんどん暗くなるし、しまいには何度も転びながら、漕いだんだ」
    「危ないよ。よく無事だったね。」
    「うん、それで神様みたいな恰好の子が、何回か押してくれて
     バランスの取り方を覚えて、何とか帰れたんだ」

    「ふーん。益々、夕梨さんのような気がするけど、私は覚えてないな」
    「へっ? 夕梨は、今年まで、この街に来たことなかったんじゃなかったっけ?」
    「ううん、夕梨さんが小学校を卒業するまでは、夏休みの度に遊びに来てたんだよ」
    「私も、よく遊んでもらってたな。」
    「ふむ、何か、あの女の子達が宇佐見と夕梨の気がしてきた。
     もし、そうなら、ろくにお礼も言えなかったから、感謝しないとね」

    「じゃ、特に夕梨さんに感謝だね。」
    「うーん、いや、夕梨だったとしたら感謝しない。大体、あの子は、
     一輪車の子の方を指して、タイヤが1個より2個の方がバランス
     取りやすいはず、情けない、とか言って、見捨てる気満々だったし。
     で、一輪車の子が、お願いしてくれて、ブチブチ言いながら、
     やっとこさ押してくれたんだったような。」
    「あはは、身に覚えないけど、私と夕梨さんなら、そーゆー展開になりそう。」
    「それにしても、酷いね。どうして、補助輪が外れてたんだろう。」

    「あ、何か思い出して来た。やっと、何とか一人でも漕げるようになったら、
     補助輪つけた悪ガキ軍団が一輪車に乗れる女の子が生意気だって言って、
     泥水の入った水鉄砲を撃ってきたんだっけ」
    「で、どーなったの?」

    「そしたら、神様みたいな恰好の子が俺の自転車の荷台にまたがって、
     漕げって、言ったんだぜ。まー、こっちも必死だったから、その時は
     言いなりになったけど、何か腹立ってきたな。」
    「私、じゃないや一輪車の女の子は?」
    「双手に別れて逃げたけど、小回りが利く分、逃げ足速かったな。」
    「あはは、で、土成くん達は?」
    「神様みたいな恰好の子が、曲がり角で待ち構えて、合気道みたいなので、
     片っ端から投げ飛ばしてたな。」

    「何だろう? この、ざわざわする感じ。知らないはずなのに、
     心当たりがある気がするよ」
    「まーいいか。喉かわいたや。オレンジジュースでよければ飲む?」
    「うん、お願いします。」

    一方、野分モーターサイクルでは、莉緒の欠席を心配した磯原が様子を見に来ていた。

    「伸之さん、莉緒ちゃん、どーですか?」
    「お、細(ささめ)ちゃんか、寝かしてある。
     全く、嫁入り前の身体と顔に傷をつけやがって、
     砂丘(すなおか)って野郎、今度会ったら、ただじゃおかねー」
    「え、そんなに酷いんですか? 莉緒ちゃん」

    それを聞きつけた話の中心人物が奥の方からドタドタと走ってくる。

    「お兄、騒ぐな。それに砂丘(サキュ)は悪くないよ。」
    「あ、莉緒ちゃん。その絆創膏。」
    「ああ、こんなもん、かすり傷だよ。お兄が大げさに張り付けただけ」
    「でもな、莉緒、お前、親父に知れたら、こんなものじゃ済まないぞ」
    「う、それは、そうだけど。あの時は、凄く怒られたもんな。」
    「あの時って?」

    「ほら、細も覚えてない? 小学校の時、2組の男子連中が
     女子の服に泥水入りの水鉄砲を引っかけてたのを」
    「ああ、それで莉緒ちゃんが。あの子たちが蝉取りしてる間に、
     自転車の補助輪を外したんだっけ?」
    「そんなことあったな。で、親父のレンチを持ち出したのがバレて、
     俺も監督不行届きって、怒られたな。アハハハ… 笑い事じゃねーぞ」

    「あー、アイツらだ。アイツらが、砂丘と私を襲ったんだ」
    「何の事? 誰? 莉緒ちゃん」
    「ねー、細、さっき言ってた2組の連中。最近、どうしてるか知らない?」
    「うーん、中学校は卒業したと思うけど、どこの高校言ったかは知らないな。」
    「おう、莉緒、そいつらの卒業写真あるか?」
    「うん、持ってくる。待ってて」

    「あの、伸之さん、危ないことは…」
    「大丈夫、大丈夫。こっちは社会人、危なきゃ警察に任せるよ」

    莉緒ちゃんが持ってきた中学の卒業アルバムから、何人かリストアップして、
    拡大コピーした伸之さんは、FAXで、どこかに送っていた。
    数分後、電話がかかってくる。

    「ガチャ。はい、野分モーターサイクル。何だ、栄か。で、どーだった。
     ふん、ふん、よし、分かった。じゃ、夕方な。チン」
    「どーだった? お兄。」
    「ビンゴだ。こいつらは、高校中退して、今はロロル(呪)の中核らしい」
    「そっか、あいつら、10年経っても、同じ、いや、ますます酷いことを」

    「あのう、話についていけないんですけど」
    「ああ、細は気にしなくて、いいよ」
    「でも、若葉ちゃんと土成くんが、そのロロル(呪)って人達の所に、
     砂丘くんが行くんじゃないかって、言ってたよ」
    「そうだろうね。でも、あいつら夜行性だし。
     夕方までは、砂丘も動きようはないと思うよ。」

    「ところで細、若葉はともかく、何で、土成の名前が出てくるの?」
    「え、砂丘くんの幼馴染だし、夕梨さんとも何かするって言ってたよ」
    「夕梨さん? お兄、あの巫女さんに何か出来るわけないじゃない。
     巻きこむのはやめなよ」
    「でも、昨夜お前を送ってくれたの、夕梨さんだぞ。
     それに、何か情報を持っているって」
    「う、確かに、あの人、得体知れないからな。」

    「そー言えば、あの時、補助輪外したのは7台だったかな?」
    「何? 細。嫌なこと思い出させないでよ」
    「いや、2組の子達は、6人でしょ。後1人は誰だったのかな?…って思って」
    「そーだな。そのことが親父に知れて、俺と莉緒で、
     夏休み中、近所の子供たちの自転車メンテナンスをさせられてさ。
     おかげで、バイク以外にも自転車の受注が増えて、親父は喜んでたけど、
     結局分からず仕舞だったんだよな。」

    話は戻って、土成邸。飲み干したグラスを置き、溜息をつく2人。
    残った氷がカランと音を立てる。

    「ふー、まだ2時間近くあるな。何しようか?」
    「そーだね。私は、まだ、残り見てるから構わないけど、土成くんは暇なの?」
    「お、窓の外、凄い、入道雲だな。宇佐見、写真撮らなくていいのか?」
    「出来るだけ、休んでおけって言われてますから。我慢だよ。
     そうだ。土成くん、スケッチしたいなら、私描いてよ」
    「ええ! 俺は、その風景画が門で、人物は、その…」

    「聞いたよ。先月の美術の課題で、私が欠席してる時に細ちゃん描いたって」
    「それはそれは、細ちゃん喜んでたな」
    「あれは、課題で、仕方なく」
    「ふーん。細ちゃんは描けて、私は描いてくれないんだ。土成くんのケチンボ。」
    「そんなことはないけど… ふー、まー、することないから、いいけど」
    「やったね。どんなポーズ描きたい?」
    「いいから、いいから、そのままノート見ててよ。自然に楽にしてて」

    てな訳で、黙々と1時間、宇佐見を描きつづった。

    「出来たけど、見る? 怒らないでよ」
    「見たい見たい。でも、何で、私が怒ると決めつけてるの? 
     土成くんの絵は写実的で、基本、嘘は描かないじゃない」
    「まー、そーだけど、はい。自信ないんだよな」
    「… ふーん。土成くんには、私は、こー見えてるんだ。」
    「まずかった?」
    「ううん。嬉しい。出来たら、違うのも見たいな。」

    「また、今度ね。それよりも、おかわりいる?」
    「出来れば、お茶が欲しいかも。それと、これ、もらっちゃダメ?」
    「いいよ、そんなのでよければ。」
    「ふふ、ありがとう。じゃ、お茶飲んだら出かけようか」 (続く…のか?)

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    とりあえず、書こうと思っていた、番外編的内容は終了。
    以下は本編のはずだけど、案外、本編の内容に絡めてしまった。
    まー、自分が書きたいって思った内容が、他人様が面白いとは
    感じてくれないだろうけど、まー、自己満足ということでwww

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