忍者ブログ
2024 . 05||
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • ×

    [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/121/ (01)夕梨先生の霊子論 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/155/ (02)大いに可なり 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/157/ (03)宇佐見若葉 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/164/ (04)九日旭
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/167/ (05)サイレント・ヴォイス 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/172/ (06)土成首里 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/174/ (07)谺神社 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/176/ (08)庚申塔 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/213/ (09)大可如弥
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/221/ (10)五穀断ち
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/225/ (11)着信あり


    ラギヨイ・アチントヤ(12) バイクショップ野分


    ra3


     昼食後、残りの休み時間を使って、美鈴ちゃんと莉緒ちゃんが
    それぞれの情報網で土成くんの家の住所を調べてくれることになった。

     持つべきものは友達ということだろうか。素直に感謝すべきなのだろうが、
    後が怖い気もする。無論、好意は甘んじて受けるつもりだけど、暦ちゃんが
    「少しでも休んだ方がいいですよ」…といって保健室のベッドで
    寝かしつけるのは、流石にやめて欲しかった。幾ら5時間目が自習だから
    と言っても、やりすぎである。しかも、子守り歌まで。
    ただ、才色兼備の暦ちゃんの唯一の欠点である歌唱力は
    破壊力があり、私は、いつの間にか伸びてしまい、
    小1時間眠ってしまったようである。

    はね起きて、教室に戻ろうとすると養護教諭(保健の先生)に見つかる。
    怒られると思ったら、「顔色悪いわよ」と逆に心配されてしまった。
    しかし、甘えるわけには行かない。大丈夫です。と言いきって、教室に戻った。

    残り15分ほどであったため、「そのまま寝ておけばよかったのに」という
    内容が書かれた小さく折りたたんだ紙きれの手紙が飛んできた。
    そして、他にも件の土成くんの住所が書かれていた。

    だが何故か、見覚えのある住所である気がした。
    デジャ・ビュ(Deja vu:既視感)?
    思い出そうとしても思い出せない。そんな事を考えている間に
    何もしない間に5時間目は終わってしまっていた。

    休み時間、3人が私の机を囲んだ。





    美鈴「ふむ、うさみん、さっきよりは顔色よくなったかな?」

    暦 「私の子守歌がよかったのでしょう。物の1分で眠ってくださりました。」

    莉緒「げっ、こよ、歌ったのかよ。うさ、大丈夫か」

    暦 「どーゆー意味ですか? 大丈夫ですよね、若葉さん」


    私は苦笑いするしかなかった。それよりも気になっていた疑問をぶつける。


    若葉「それよりも、この住所なんだけど、どこだっけ?
       何か、見覚えあるんだけど」

    莉緒「何だ、気づいてなかったのか、
       そこは、うさが通っていたバレエ教室があった場所だろ」

    美鈴「あ、りおりお、しー、って、あちゃー、もう全部言っちゃったか。」

    暦 「若葉さん、バレエ習われていたんですか?」

    先生「こらー、そこ席に着け。授業始めるぞ」


    そう言われて3人は慌てて席に着く。私は、しばし呆然としていた。
    何で忘れていたのだろう。いや、無意識に寄り付かなくなっていたのだ。

    私は、小学生時代バレエを習っていた。しかし、中学校になってから
    急に背が伸び始め、私は、大きくなりたくないからと言って、
    拒食症になったり、纏足まがいの小さな靴を履き続けたせいで、
    足の豆が潰れ、数か月入院する羽目になり、退院する頃には
    筋力が衰え、ライバル達と差をつけられ、更には、出席日数も
    危ういということで、残りの中学生時代は灰色の学園生活を
    過ごしたのである。

    まー、その頃に美鈴ちゃんと莉緒ちゃんと知り合ったのだから、
    灰色というのは言いすぎだろう。ちなみに、暦ちゃんとは、この高校で知り合った。

    知り合ったと言えば、土成くんともである。その頃は名前も学年すらも
    知らなかったけど。何をするでもなく、屋上でただぼんやりと
    空を見上げていた私とは全く逆方向を熱心に描き続けている少年。

    その彼に一度だけ質問したことがある。「何故描いてるの?」と。
    でも、その答えは忘れてしまった。
    けど、それから私は雲を撮るようになったのだ。

    とか考えているうちに、またも授業が終わってしまっていた。
    明日、暦ちゃんにノート借りなきゃ…と言い出す前に、


    暦 「若葉さん、土成くんのことを心配する気持ちは分かりますが、
       ノートを取る素振りくらいしてください。
       いつ、先生に注意されるかと冷や冷やものでした」

    若葉「あはは、あの暦ちゃん、もしよかったらノートを…」

    暦 「はいはい、どうせ、寝たり、作詩してた2人もいますから、
       コピーして配布します。土成くんのもいりますか」

    若葉「面目ありません…。お願いします」

    美鈴「悪いね、こよみん。ほら、りおりお、部活の時間だよ」

    莉緒「ふが、ふわぁー、よく寝た。よーし、さー、今からが本番だぜ」


    そんなこんなで、部活動のある3人の代わりに帰宅部の私が
    購買部前のコピー機で暦ちゃんのノートを5教科4人分コピー
    することになったのである。各3ページ×5×4=60ページ
    600円(10円コピー:5時間目は自習のため、ノーカウント)

    量はしれたものであったが、他にも利用客がいたり、
    紙詰まりの影響で家に帰ったのは16時。少し慌てなくては。
    けど、おかげで、夕梨さんへの不信感は不思議と和らいでいた。
    というよりも、自身の苛立ちが薄れていたというべきか。

    シャワーを浴び、スポーツブラとブラウス、パーカーと金属のない
    素材の衣服に着替える。いつものリュックではなく、布製の巾着袋に
    詰め替えていると、携帯電話が着信メールがあったことを告げていた。

    見なくても誰かは分かったが、内容までは分からない。
    何はともあれ、出かける前でよかった。


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    FROM 夕梨さん
      TO 若葉ちゃん


    間もなく17時だね。気が変わってなければ、神社に来て。
    その際、土成くんの人となりが客観的に判断できるものがあれば
    持って来て。それじゃ、ご馳走作って待ってるから。


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    土成くんの人となりが客観的に判断できるもの…

    少し考えたが、まともに会話したのが昨日と一昨日の2日しかない
    私に何ができるだろうと思ったが、これ以上ないものがあった。

    そう、土成くんがこの1年間描き綴った風景のスケッチブック。
    これしかない。それも巾着袋に入れ、帰りは遅くなるかもと言って家を出た。

    時刻は16時30分。約束の時間まで、後30分。充分間に合う。

    と家から10分で行ける谺神社までの道中で、見覚えのある白巫女服が目に入った。
    それは、一件の店に消えていった。
    その店の看板を見ると「バイクショップ野分」と書いてあった。

    実は莉緒ちゃんの家でもある。奥で店長代理のノブさん(野分伸之)と
    夕梨さんが話しているようである。店長代理というのは、
    お父さんが過労で入院しているため、
    お兄さんのノブさんが店を切り盛りしているからなのだが。

    待っていても、出てくる気配がないので、思わず覗きこんでみた。




    http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=2545924  (伸之原寸)


    若葉「こんにちわ」

    伸之「おや、君は莉緒の友達の…」

    夕梨「あれ、若葉ちゃん。もしかして、もう17時になった?」

    若葉「いえ、まだですけど。夕梨さん、何してるんですか?」

    伸之「莉緒は、まだ部活なんだけど、もしかして君、夕梨さんと知り合い?」

    夕梨「ノブさんスイマセン。私、若葉ちゃんと今から出かけなくちゃいけないので」

    伸之「でも、スクーターじゃ2人乗りできませんよ。何なら俺が車出しましょうか?」

    夕梨「いえ、車の運転手もいますので、それではお借りしていきますね」

    伸之「はい、毎度あり。お気をつけて」

    夕梨「はーい、行ってきます。と言っても、
       若葉ちゃんいるから押していくか、うんしょと」

    若葉「運転手って、大可さんですか?」

    夕梨「うん、若葉ちゃんには出来るだけ身体を休めていてもらいたいからね」

    若葉「あの、いろいろしてもらっていて申し訳ないんですけど、
       何で、こうまでしてくれているんですか?」

    夕梨「そうね。何から説明すればいいのかしら。
       とりあえず、神社について食事しながらお話しましょう」


    何か、またはぐらかされたような気がするけど、
    やっと説明してくれるというのだ。5分や10分くらいは我慢することにした。


    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/232/ (13)オーグルX に続く。

    PR

    ● Post your Comment
    Name
    Title
    E-mail
    URL
    Comment
    Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
    ● この記事へのトラックバック
    Trackback URL
    Script:Ninja Blog  Design by:タイムカプセル
    忍者ブログ [PR]
    ▼ カレンダー
    04 2024/05 06
    S M T W T F S
    1 2 3 4
    5 6 7 8 9 10 11
    12 13 14 15 16 17 18
    19 20 21 22 23 24 25
    26 27 28 29 30 31
    ▼ カウンター
    ▼ ブログ内検索
    ▼ 最新CM
    [01/13 73]
    [01/12 kdy]
    [01/04 73]
    [01/03 macoji]
    [01/03 NIKE]
    ▼ フリーエリア
    ミク時計




    ▼ お天気情報
    ▼ プロフィール
    HN:
    南丘蒼梧(73/黒卵<コクラン>)
    HP:
    性別:
    男性
    ▼ カウンター
    ▼ 最新TB
    ▼ バーコード
    ▼ amazonブログパーツ