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    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/121/ (01)夕梨先生の霊子論 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/155/ (02)大いに可なり 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/157/ (03)宇佐見若葉 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/164/ (04)九日旭
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    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/172/ (06)土成首里 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/174/ (07)谺神社 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/176/ (08)庚申塔 
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/213/ (09)大可如弥
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/221/ (10)五穀断ち
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/225/ (11)着信あり
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/229/ (12)バイクショップ野分
    http://namiokasougo.blog.shinobi.jp/Entry/232/ (13)オーグルX(R-18)


    ラギヨイ・アチントヤ(14) 一霊四魂 ((12)からの続きです)


    夕梨「さて、何から話しましょうか。あ、その前に夕食準備するね」


    と、神社奥の住宅に案内され、私は夕梨さんの部屋に残された。
    「手伝います」と言ったのだが、「いいからいいから」と留まらされ、
    その際、夕梨さんはレコードをかけていった。
    何の曲かは分からないがオーケストラ演奏のクラシックらしい。
    MDどころかCDですらないのは、合唱部所属の彼女なりのこだわりなのだろうか。


    5分もしない内に帰ってきた夕梨さんが私を呼びに来る。
    一人では持ち切れなかったらしい。
    しかし、どうせ蕎麦なのだろうという私の予想は裏切られた。
    麺ではなく、いわゆる蕎麦がきと呼ばれる、
    蕎麦粉に水を加えて加熱し、箸ですぐかき混ぜることで粘りを出した塊状の食べ物であった。
    しかも、つゆではなく、スパイシーなカレー粉。
    そして、またもやこんにゃく、昆布、大根。当然、辛子のみ。
    けど、デザートにお昼食べ損ねた苺があった。


    ra3
      谺夕梨 (大学1年生、巫女見習?)        宇佐見若葉 (高校2年生:雲好き)


    夕梨「今日だけだからね。若葉ちゃん、明日は、お醤油もお味噌も、練乳も思う存分使っていいから」

    若葉「あの、夕梨さんは毎日こんな食生活なんですか?」

    夕梨「此処1ヶ月くらいはね。けど、明日からは何でも食べるわよ。
       若葉ちゃんは、今日1日しかやっていないから、
       ※あまり効果は期待できないかもしれないけど、やらないよりはマシだから。」


    ※消化は48時間かけて行なわれ、体外に排泄される。
     また、全身の血液は1週間で入れ替わっており、
     さらに、全身の細胞の新陳代謝は約半年かけて行なわれるため。


    若葉「五穀断ちというのが、千日行を行なう修験者さん達の準備食というのは
       暦ちゃんが教えてくれましたけど、コンニャクとかは何の意味があるんですか?」

    夕梨「それを語るためには、庚申信仰のことから話さなきゃいけないんだけど、知ってる?」

    若葉「昨日、土成くんも、あの石碑がそれにまつわるものだとか言ってましたけど
       一体、何のことなんです?」

    夕梨「へー、首里くんは、あれが何か知っていたのか。そりゃ相性がいいはずね」

    若葉「相性?」

    夕梨「まー、それは後で話すとして、若葉ちゃん干支は知ってるわね」

    若葉「はい、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥の十二支のことですね。
       土成くんが、庚申の申の字が、さるだと言ってましたけど」

    夕梨「ふんふん。じゃー、丙午(ひのえうま)って聞いたことがある?」

    若葉「その年に生まれた女性は気が強いとかいう、あれですよね」

    夕梨「よしよし。じゃー還暦って、いつのお祝いか分かる?」

    若葉「確か60歳の誕生日に赤いチャンチャンコをプレゼントしますよね」

    夕梨「そう。でも昔は、皆、お正月に年を取る数え年だったの。」

    若葉「あー、だからお正月は寒いから、身体を冷やさないようにするために
       赤いチャンチャンコをプレゼントしてたんですね。」

    夕梨「で、その60というのがヒントね。十干十二支って聞いたことがある?」

    若葉「いえ、何ですか、それ」

    夕梨「干支は本当は陰陽五行の10の項目を掛け合わせて60で一巡するのね。
       ちなみに十”干”十二”支”の干支の部分が干支の元ネタなわけ」

    若葉「はー」

    夕梨「退屈してきたかな。それじゃ、そろそろ本題に入るわね。さっき言っていた
       丙午(ひのえうま)。十干の丙は陽の火、十二支の午は陽の火で、比和。
       えーと比和っていうのは、同じ気が重なると、その気は盛んになり、
       その結果が良い場合には益々良くなるんだけど、悪い場合には益々悪くなるの。
       だから、丙午生まれの女性が、結婚できなかったり、嬰児が間引きされたとか
       差別や迫害も少なくなかったとか。」

    若葉「…」

    夕梨「脱線したわね。それでは、お待ちかねの庚申だけど、”こうしん”という読みの他に
       ”かのえさる”という読みもあるの。そして十干の庚は陽の金、十二支の申は陽の金で、
       これも比和なわけ。」

    若葉「つまり、よくないわけですか」

    夕梨「庚申は干・支ともに金性だから、庚申の年・日は金気が天地に充満して、
       人の心が冷酷になりやすいと言われているわね。そして、今日がその庚申の日なわけ。」

    若葉「それと、あの石碑はどう関係するんですか? 大可さんは供養だとか言ってましたけど」

    夕梨「それで出てくるのが庚申信仰なわけね。元々は中国道教の三尸説(さんしせつ)に由来する
       んだけど、人間の頭と腹と足には三尸(さんし)の虫(彭侯子・彭常子・命児子)がいて、
       いつもその人の悪事を監視していて、その三尸の虫が庚申の日の夜寝ている間に
       天に登って天帝(「閻魔大王」)に日頃の行いを報告し、罪状によっては寿命が縮められたり、
       その人の死後に地獄・餓鬼・畜生の三悪道に堕とされると言われていたので、
       三尸の虫が天に登れないようにするために、この夜は人々が集まって、寝ずに夜を明かした。

       それが庚申待(こうしんまち)、庚申講(こうしんこう)、庚申会(こうしんえ)と呼ばれていて、
       古くは清少納言の枕草子や織田信長も庚申講を行なわってるわね。それで、その庚申待を
       61日に1回、年6回、3年18回続けた記念に建立されたのが庚申塔というわけ。」

    若葉「つまり、あの石碑は、その三尸の虫を供養したものなのですか」

    夕梨「うーん、全国各地にあるものは、そうなんだけど、あの石碑は特殊なの。
       庚申の次の日は辛酉(かのととり・しんゆう)といって、金性が重なっている上に、
       辛は陰の気なので冷酷さがより増すと言われていて、庚申の日に、徹夜をした人々から、
       強盗、殺人、婦女暴行を行なった極悪人達が処刑されて、お寺にも葬ってもらえなかった
       から、祟りを恐れた人からあそこで祀られたのね」

    若葉「まさか、それが悪霊? もしかして、それが土成くんに取り憑いた?」

    夕梨「分かりやすい表現をするとそれかな。結果から言うと、それまで穢れていた、
       あの石碑付近が、今朝になると浄化されていたの」

    若葉「でも、土成くん、石碑にぶつかった後もいつも通りでしたよ。」

    夕梨「そおね。でも、今朝の電話の内容覚えている? 少し変じゃなかった?」

    若葉「確かに、電話の最初と最後は電波状態が悪かったのか、変でしたけど。
       後、寝ぼけてたのかもしれないし」

    夕梨「大可さんが、あの後、ご両親に連絡して、立ち会いの元、土成邸に行ったらしいの。
       すると、首里くんはいないけど、気配は感じられるという矛盾の中、
       お二人とも充満する瘴気に当てられて意識を失われてしまっているの」

    若葉「え? 学校には、土成くんのお父さんから欠席届の電話があったと先生から聞きましたけど」

    夕梨「あー、それは、ご両親に代わって如弥さんがかけたの。
        という訳で、残りの希望は若葉ちゃん、あなただけなの」

    若葉「私には何も出来そうにないんでうけど…」

    夕梨「首里くんは、昨晩23時の若葉ちゃんのメールの後からの記憶がないって言っていた。
       23時というのは丁度、引き潮の時間。血圧低下に伴い、息を引き取る人も少なくないと聞くわ。
       つまり、首里くんは、その時、乗っ取られてしまったのかもしれない。
       けど、今朝電話した時、若葉ちゃんの声には反応して、いつもの彼に戻ったじゃない。
       期待しているわよ。勿論、私も全力でサポートするから。」

    若葉「何が出来るか分かりませんが、頑張ります」

    夕梨「よし、いい返事ね。大丈夫、きっと元に戻る。いや、頑張って戻そうね。」

    若葉「けど、何でコンニャクだったんです?」

    夕梨「ああ、庚申の日には、コンニャクって、つきものなのよね。理由は、昔は
       虫下しの薬と信じられていたせいらしいけど」

    若葉「つまり迷信なんですね」

    夕梨「けど、昔の人の知恵って侮れないわよ。とにかく可能性があるなら、
       何にでもすがりたい訳。だから、こんな物も用意したわ」


    と言って、夕梨さんが見せたのは、塩と千切ったコンニャクの山だった。


    若葉「塩は穢れを祓い清める清めの塩なんでしょうけど、
       コンニャクはもしかして土成くんに食べさせるんですか? 
       けど、これ、生じゃないですか。おなか、壊しませんか?」

    夕梨「火は人工物で陰の気を帯びているから、お日さまの光を浴びた
        陽の気に満ちた自然の状態の方がより効果はあると思うわ。
        おなかが壊れても、直ったらいいじゃない。というのは確かに乱暴だと思うけど」

    若葉「でも、あまり悪霊退散って感じじゃありませんね」

    夕梨「そう、要するに寝ぼけている首里くんを起こすのが目的なわけ。
       あと、さっきから悪霊って言っているけど、それらも含めて首里くんなわけ。」

    若葉「どーゆーことですか?」

    夕梨「人間の心や森羅万象は一霊四魂から成り立っていて、直霊(なおひ)、
       「勇」の荒魂(あらみたま)、「親」の和魂(にぎみたま) 、
       「愛」の幸魂(さきみたま)、「智」の奇魂(くしみたま)で構成されているのね。

       けど、直霊が、正常に働かなくなると曲霊(まがひ)に転じ、荒魂は争魂、
       和魂は悪魂、幸魂は逆魂、奇魂は狂魂となる。今の首里くんの状態は、
       その曲霊の状態なわけ。」

    若葉「じゃー、それを正常にすれば、土成くんは元踊りに直るんですね」

    夕梨「そーゆーこと。じゃ、そろそろ参りますか」


    次回 三魂七魄に続く。

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